2012年9月21日金曜日

植村 『ムーン・パレス』とメランコリー


植村真未(M2)
所属:入子ゼミ
発表タイトル:『ムーン・パレス』とメランコリー

 アメリカ人現代作家ポール・オースターの作品『ムーン・パレス』における洞穴の表象について論じる。主人公マーコ、とその父バーバー、祖父のエフィングそれぞれの人生において繰り返される喪失と絶望の意味を読み解く。その上で重要となるのが古典的メランコリーの概念である。古典的メランコリーとは古代ギリシャ時代から用いられた概念で、オースターの敬愛するアメリカン・ルネサンスの大家ナサニエル・ホーソーンも用いたものである。この概念を念頭に置くことで、『ムーン・パレス』を一層掘り下げて読むことが可能になる。また、洞穴について論じるにおいて「卵」と「月」も重要なモチーフとなってくる。マーコ、バーバー、エフィングの男三世代の人生の類似点や相違点からこれらのモチーフの持つ意味を考察する。

0 件のコメント:

コメントを投稿