2012年9月21日金曜日


関西大学英米文学英語学会・関西大学英語学会・関西大学大学院英語英文学研究会 共催 研究大会プログラム

12:15-12:30 受付
12:30-13:00 レクチャー 教職の現場から 田井香織[1]


14:00-14:20 休憩 (英語学会総会 A601、大学院英語英文学会総会 A602

14:20-15:50 研究発表


16:40-17:40 講演 姓と名の英語固有名論 講師 織田稔[3]  
18:00-20:00 懇親会 フタバボウル2F 居酒屋『えこひいき』一般 3,000 専修院生 1,500 専修学生 1,000 
(未成年の方の参加はできません)



[1]本学07年卒業生、リクルート(株)を経て現在、大阪の私立高校勤務
[2] 一般財団法人  国際ビジネスコミュニケーション協会  大阪事業所
[3]元関西大学教授 『英語冠詞の世界』『英文法学習の基礎』など著書多数。姓と名の順序はどうして日英で異なるのか、名にtheが付くのはどんなときかなど、固有名詞の文法と意味を探る。

懇親会


 フタバボウル2F 居酒屋『えこひいき』一般 3,000 専修院生 1,500 専修学生 1,000 
(未成年の方の参加はできません)

研究発表


A601 英語学 司会 野口メアリー
14:20-14:50  藤本雄馬(M2)  World Englishes:  The Intelligibility of Japanese English
14:50-15:20  中野阿佐子(M2)  What is FEAR ? : Analysis based on Cognitive Metaphor Theory and Physiological Research
15:20-15:50 久保圭(京都大学D3) Pseudo-scienceはScienceか?:接辞にみる「似て非なる」の多様性



A602 英米文学 司会 干井洋一
14:20-14:50  植村真未(M2) 『ムーン・パレス』とメランコリー
14:50-15:20  上村周平(M2) 『ナルニア国物語』―誘惑の場面における聖書との比較―
15:20-15:50 堀内健裕(D3) 発表タイトル:ホーソーンが描く“damsel”










久保 Pseudo-scienceはScienceか?:接辞にみる「似て非なる」の多様性


発表者: 久保圭(京都大学D3)
発表タイトル :Pseudo-scienceはScienceか?:接辞にみる「似て非なる」の多様性
発表要旨
 本研究では,「似て非なる」をあらわす接頭辞,とりわけ,英語接頭辞pseudo- と日本語の「偽」「似非」「疑似」について比較分析・考察をおこなう.これらの各接頭辞と語基Xが結合した表現は「Xと類似しているが,何らかの点で異なるもの」をあらわす.これにより,以上の接頭辞は「潜在的な否定をあらわす否定接頭辞」として再規定することが可能であり,本研究は否定研究として位置づけられる.本研究においては,各接頭辞における共起関係の特徴は,各接頭辞が「語基のどの部分に焦点を当てるものであるか」の差異によって動機づけられていると仮定し,その妥当性を検証するために,各事例が用いられる文脈の分析をおこなった.本研究の目的は,まず,データ分析により「似て非なる」をあらわす各接頭辞の意味を明らかにし,カテゴリーの観点から意味の図示を試みること,そして,pseudo- と各日本語接頭辞の意味の表しかたの差異について考察をおこなうことである.

上村 『ナルニア国物語』―誘惑の場面における聖書との比較―



上村周平(M2)
所属:干井ゼミ
発表タイトル:『ナルニア国物語』―誘惑の場面における聖書との比較―

 20世紀の世界3大ファンタジーの1つとして称えられる『ナルニア国物語』シリーズ、その第1作『ライオンと魔女』における誘惑の場面について考察する。
 作者のクライブ・ステープルズ・ルイス(C・S・ルイス)は宗教者としても有名であり、キリスト教に関する数多くの著作を残しており、この作品においてもキリスト教の影響を多く見ることができる。
 『ライオンと魔女』は17章から構成されているが、考察に用いるのは主に4章のみである。この箇所は旧約聖書の『創世記』におけるエデンの園からの追放と類似しているため、先行研究においても並べて論じられることが多い。しかし、相違点については論じられることが極端に少ないため、今回の考察では類似点・相違点を列挙し、より詳しく論じていく。

植村 『ムーン・パレス』とメランコリー


植村真未(M2)
所属:入子ゼミ
発表タイトル:『ムーン・パレス』とメランコリー

 アメリカ人現代作家ポール・オースターの作品『ムーン・パレス』における洞穴の表象について論じる。主人公マーコ、とその父バーバー、祖父のエフィングそれぞれの人生において繰り返される喪失と絶望の意味を読み解く。その上で重要となるのが古典的メランコリーの概念である。古典的メランコリーとは古代ギリシャ時代から用いられた概念で、オースターの敬愛するアメリカン・ルネサンスの大家ナサニエル・ホーソーンも用いたものである。この概念を念頭に置くことで、『ムーン・パレス』を一層掘り下げて読むことが可能になる。また、洞穴について論じるにおいて「卵」と「月」も重要なモチーフとなってくる。マーコ、バーバー、エフィングの男三世代の人生の類似点や相違点からこれらのモチーフの持つ意味を考察する。

堀内 「ホーソーンが描く“damsel”」


堀内健裕(D3)
所属:入子ゼミ
発表タイトル:ホーソーンが描く“damsel”

アメリカ文学の巨匠として名高い作家、ナサニエル・ホーソーンが描いた、名家の娘達(damsel)について論じる。
ホーソーンの代表作『緋文字』に登場するヘスター・プリンは名家の血筋で、その娘パールも名家の血筋を受け継いでいる。パールの活き活きとした描写、またミステリアスな描写は魅力的で、読者の心を掴んで離さない。しかしパールは、不倫の結果この世に生を受けている。『緋文字』本文中でも触れられているように、生まれる前から、パールには、ヘスターの身に着けていた罪の証「緋文字」の影響が及んでいる。この影響を考慮すると、パールだけをホーソーンが考える一般的な名家の血筋の娘として論じる事は難しい。そこで本論では「雪人形」をはじめとする短編作品も鑑み、複数の事例を参考に、ホーソーンが描く名家の娘を多角的に考察する。

中野 What is FEAR ? : Analysis based on Cognitive Metaphor Theory and Physiological Research


中野阿佐子(M2)
所属:鍋島ゼミ
発表タイトル:What is FEAR ? : Analysis based on Cognitive Metaphor Theory and Physiological Research

本研究では日英語における《恐怖》について認知メタファー理論(CMT, Lakoff and Johnson, 1980, 1999; Grady, 1997; Evans, 2010)の立場から分析する。認知メタファー理論において《恐怖》はおそらくこれまで最も研究されていない感情の1つである。しかしながら、恐怖の感情は動物にとって生命維持に必要不可欠であることを鑑みても、それを理解することは大変有意義なものである。本研究では、数少ない先行研究としてKövecses (1990, 2000)Stefanowitsch(2006)を取り上げ、コーパスデータを基に日本語と英語における《恐怖》のメタファーを分析すると共に、それらに対して生理学的知見を加えた動機づけを試み、以下の2点を主張する。

藤本 "World Englishes: The Intelligibility of Japanese English"



藤本雄馬(M2)
所属:野口ゼミ
発表タイトル:World Englishes:  The Intelligibility of Japanese English

Today, English is spoken in many different countries all over the world. In some Asian countries, it is spoken by people as the second language. In other countries, it is studied as a foreign language. Previously, English was thought to be a single language, no matter who spoke it. Today, however, many people have started to think that English has many varieties, depending on who speaks it. For example, even though British people and American people are both native English speakers, the Englishes they speak have different characteristics in terms of vocabulary and pronunciation. When it comes to non-native varieties, English differs even more from one variety to another.  This way of thinking is called "World Englishes". According to this perspective, Indian people speak "Indian English" and Singapore’s people speak "Singapore English", for example.
Likewise, the English that Japanese people speak can be called "Japanese English". However, the English proficiency level of the average Japanese person is quite low, so there is some controversy as to whether Japanese English is really understandable to other people or not.
The most important element of a language is to be a tool for communication. So if Japanese English is not understandable to other people, it cannot be regarded as a valid variety of English. In this presentation, I would like to talk about some basic ideas about what Japanese English is, especially from the phonological point of view.  And then, I would like to consider the validity of Japanese English in terms of international communication in today's globalised society.

卒論構想発表会

A601 
13:00-13:15  角矢愛 (入子ゼミ)   白鯨における「運命」について  司会 秋元秀紀
13:15-13:30  榊原啓太 アンダーソンゼミ) Misunderstanding In a Business Meeting 司会 鍋島弘治朗
13:30-13:45 木舩巴愛 (秋元ゼミ) ティム・バートン監督の映画について 司会 入子文子
13:45-14:00  和田歩 (鍋島ゼミ) 構文文法の解析―no sooner thanを例に― 司会 フレッド・アンダーソン


A602 
13:00-13:15  土井亜紀子 石坂ゼミ) 日韓の英語教科書における語彙の質的・量的比較 司会 野口メアリー
13:15-13:30  山内勇樹 干井ゼミ) 『エルフランドの王女』試論 司会 谷口義朗
13:30-13:45 山中麻衣 野口ゼミ) 褒め言葉:日英語比較 司会 干井洋一









講演 16:40-17:40 姓と名の英語固有名論

講師 元関西大学教授 織田稔先生

文学作品の中の英語も使用し、Elizabeth, Adams, Tanaka, Kyohei, などといった、姓や名が英語でどのような名詞カテゴリーで捉えられており、the、a, 複数形とどのように共起するのか、お話いただきます。

レクチャー概要 16:00-16:30 TOEIC®テストの概要と社会における活用状況


【タイトル】TOEIC®テストの概要と社会における活用状況


【内容】
  2011年度、日本国内で227万人が受験したTOEICテスト。企業のグローバル
化が進むなか、海外進出を積極的に進めてきた企業のみにとどまらず、これ
まで国内マーケットでビジネスを展開してきた企業においても「グローバル人
材」を育成する動きが活発になっています。そうした中、英語力の必要性がさ
らに高まり、TOEICテストの活用が一層広まっています。
  今回のレクチャーでは、主にTOEICテストの概要、社会での活用状況、各
種データを紹介します。また、英語による発信力を直接測定するテストとして
2006年にスタートされたTOEICスピーキングテスト/ライティングテストの概
要も説明します。

【発表者】
一般財団法人  国際ビジネスコミュニケーション協会  大阪事業所 浅井 周平

レクチャー概要 12:30-13:00 教職の現場から 


関西大学文学部を卒業後、新卒として広告会社で約三年勤務した後、英語科教員として赴任しました。コース別教育を特色とする高校で、特進・保育・そして現在はパティシエコースの担任として日々奮闘しております。昨今問題になっている「いじめ」「モンスターペアレンツ」「生徒の生活環境の変化」など、頻発する問題に悩む毎日です。しかし愉快な生徒たちと素晴らしい先輩教員に救われ、早3年以上が経ちました。学生時代によく「大学で学ぶことなど現場で役に立たない」と耳にしましたが、実際働き始め、「一番苦しいときに自分を支えるのは間違いなく大学で学んだ知識と、実際に働く人の話を聞いたことだ」と実感しております。今回は、教師としてどのような毎日を送っているかということを中心に、学生の皆さんの様々な疑問に答えたいと思います。また、自らの経験をもとに、教職と企業就職の間で揺れている人にも参考になれば幸いです。